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社員の離職を防止する3つの視点

更新日:4月29日


あなたは社員の離職で悩んでいませんか? 


組織は人」、会社や事業は、そこで働く人で成り立っています。会社経営、事業運営、プロジェクト遂行において、いかなる優れた事業プラン、アイデア、戦略、戦術があったとしても、遂行する社員が離脱すれば成り立ちません。


それだけに、人を大事にする姿勢と心構えが経営者には求められます。往々にして社員を雇用する経営者は勘違いしていることが多いと感じます。「雇用してあげている。採用してあげている。」という上から目線であることです。


会社は社員を選びますが、社員も会社を選びます。昨今は少子化もあって売り手市場になっています。新卒採用においては、企業側が必死になって採用確保に乗り出しているのが現状です。入社3年以内の離職率は30%超えとも言われている企業もあるようです。10%以下には抑えたいものです。


今回とりあげるテーマは、この入社3年以内の離職は除きます。特に入社1年目の社員が辞めるケースは採用段階での問題がほとんどで、入社直後の望まない部署への配置、俗に言う「配属ガチャ」などが影響しています。また入社した社員自身の耐性不足による要因も大きいでしょう。加えて、入社数年以内の離職は会社にとって比較的軽微な損失であり、ある意味その会社の企業文化にあった社員が残った、とプラスとして捉えることもできます。


それでも半数以上辞めていくようであれば、その会社に大きな病理現象があるといってよいでしょう。深刻な状況です。早々に何らかの対策をうって下さい。その意味でも今回のテーマは参考になるかもしれません。


誰もが知っている「石の上にも3年」ということわざ、何事においても3年経験してみないと自分にあった業務、職種、業種、会社なのか見えてきません。どんな逆境下でも3年経験すると必ず得るものがあります。私は新卒入社社員には、最低でも3年は継続するように助言してきました。会社の為というより、その人の為にです。それでも、辞める社員を引き留めることはしませんでした。その人の人生は本人が決めることだからです。


その代わり、私が中途採用をする際は、3年以内に離職された方の採用には慎重でした。上記の理由からです。会社側の立場で助言すると3年以内の離職は転職でマイナスに働きます。職務経歴で判断されます。特に長い目線でものづくりする製造業では顕著です。私はこれまで多くの新卒採用や中途採用の1次面談、2次面談をしてきましたので、製造業における就活や面接対策なども面接を受ける側や採用する側の両方の視点で追々記事にしてみたい気もしてます。


ここから本題


さて、前置きが長くなり過ぎました。企業が社員に投資する金額は相当な費用です。私が独立してから「社員が欲しい」と思っても、そう簡単に雇用できることではないと感じています。それゆえに、社員の離職は回避したいものです。またリーダーがプロジェクトを遂行するには、社員の離脱は避けたいものです。


社員の離職要因は何だと思いますか?これは誰もが想像つくことですし、書籍や雑誌などでもとりあげらえていますが、気をつける優先順位があります。今回はプライオリティについてロジカルに考えてみたいと思います。


米国の心理学者マズローの著書「完全なる経営」で提唱された「マズローの欲求段階説」にあてはめて考えてみると、私が感じていることの裏付けがとれたように思います。ただ、どこまでいっても傾向を推定するものであり、ケースバイケース、人それぞれに要因は異なるでしょう。


大別して、人には欠乏欲求存在欲求があります。欠乏欲求には以下のものがあります。


1.生理的欲求

2.安全の欲求

3.所属と愛の欲求

4.承認と自尊心の欲求


私が考える離職要因の第3位から行きます。


第3位:金銭(給与=収入)




マズローの欲求2段階にあたります。給与が不足すると生活に何らかの支障が出て、安全が脅かされることになります。





勤続年数3年~5年以上の社員が給与に不満を抱えることはあります。他社や友人などと比較して少ないと思う人もいるでしょう。ただ、給与や賞与などの収入は入社段階である程度把握しているはず。多少、少ない程度で転職を考える人は稀なケースだと思います。


私の長い経験の中でも、金銭を理由に転職した人はほぼ記憶にありません。あるとすれば、社内の評価によって、他人より賞与が少ないとか昇給額が少ないという不満は大変多くあります。社内の評価制度を見直すことは大変重要なことです。人事部、経営層は、しっかりとその人の成果をみてあげられる体制造りをしていきましょう。特に能力査定と業績査定には違いがあるので注意しましょう。ここを間違えると不満分子が増殖します。


お金に関しては価値観も大きく影響します。私の場合は、ある程度生活できる範囲の収入があれば、さほどお金に執着はありません。学生時代は苦学生でアルバイトばかりしていましたが、社会人になってからは、一定の給与が入ればそれほど困りはしませんでした。これに関しては、人によって、また育った環境によって、借金やローンで苦労している等が影響しますので、優先順位の第1位に捉える方がいても不思議ではないでしょう。あえて補足しておきます。



第2位:人間関係(チームワークと承認)



マズローの欲求3ー4段階にあたります。人は帰属意識や自尊心が満たされないと、その組織から離れようとします。




職場での人間関係が最も難しい課題かもしれません。学生時代は、気の合う仲間と一緒にいればよかったけれども、会社では配属された職場の同僚や上司を選ぶことができません。1年毎のクラス替えもありません。合わない先輩や上司と長い期間行動し、思考を合わせる努力と協調性が必要となります。これは5年も経験すればそれなりに様々な多様性を受け入れることができるように順応し成長していきます。


それでも会社には人事異動や転勤、海外赴任などがあります。総合職で採用された社員は断りずらい環境が多いかと思います。昔は終身雇用が前提で、我慢する人が圧倒的多数でしたが、昨今は、社員も会社を選ぶ時代です。会社が無理強いすれば辞める社員は普通にいます。今の経営層の方々は多くが昭和生まれで、このギャップに苦しんでいることでしょう。


その為、会社側は社員との面談を密に行い、適材適所の配置に心掛けるようにしましょう。配置換え・ポスト変更・異動の際に事前説明なく辞令を出すなど、今の時代ではご法度です。社員の心の声(叫び)を引き出すことが重要です。特に上司がメンバーとコミュニケーションを密にとって、良好な関係性を築いておくが大切です。これは、ブログVol.2「リーダーが聴く耳をもつ重要性」を参照下さい。上下関係の相性も大事です。先輩、後輩で合わない関係の場合は、組合せを変えるなどのケアをしましょう。根性論で放置すると社員はだまって去っていきます。


ちなみに入社3年以内の若手には、この人間関係で辞める人は非常に多いです。私の場合は、この理由で去ろうとする人だけは引き留めてきました。なぜなら、どこの会社に行こうとも合わない人は必ずいるのであって、もっと劣悪な人間関係の職場にあたる可能性もあるからです。とはいえ、死ぬほど我慢してはいけません。命が大事です。会社に社員の代わりはいても、あなたの代わりはどこにもいませんから...潰れる前に逃げ出しましょう!



第1位:自己実現(将来不安、モチベーション)




マズローの存在欲求5段階目にあたります。人は自分が描く将来や夢を実現しようとします。これが最も高貴でハイレベルな欲求です。



1.生理的欲求

2.安全の欲求

3.所属と愛の欲求

4.承認と自尊心の欲求

5.自己実現の欲求


入社5年以内まで我武者羅に働き、仕事を覚える段階では、あまり意識しない欲求です。主任クラス以上になって、ある程度仕事をこなし、後輩や部下を持つと考えるようになります。これは年を重ねるほど、向上心がある人ほど、強くなります。


向上心がある人は、ある程度自分なりの目標をもって積極的に行動します。この行動が阻害されると大きな不満を抱えます。そして、業務やアウトプット、生産性の向上に必要なモチベーションが低下します。将来が不安になります。社員のモチベーションを軽視する人は、リーダーや経営者として大いに問題ありです。実際にこういう方はいました。考え方を見直しましょう。


経営層の方は特に注意して下さい。課長以上の社員が離脱するのは経営層の責任です。課長以上になる社員は概ね優秀な人です。それなりの人を昇格させているはずです。この人たちの自己実現は大変重要です。上級層の自己実現=会社の成長、だからです。上級層に活気があって職場の雰囲気が良ければ、メンバー層の定着率も高くなります。上級層が不満を抱けば、下位の層にも不満は伝搬し増殖します。


特にチームリーダーや係長以上の職制には気を使いましよう。その人の意見や声に耳を傾ける必要があります。社員は上層部に自分の意見を聞いてもらるだけで、ある程度満足します。なぜならば、その人の存在を認めている証だからです。そうすれば帰属意識が向上します。帰属意識を持てば、離脱することなく定着します。上司から見捨てられた社員の転職率は高いです。特に優秀な人ほど高いです。そこにいなくても他でやっていけるからです。新天地で自己実現を目指します。但し、いくら優秀な社員でもスタンドプレイヤーは要注意です。周りを巻き込んで仕事をできない人は、管理職ではなく専門職で活躍してもらいましょう。


まとめ


いかがでしたでしょうか。考え方は様々ですが、

社員のことは人事部任せ!では大転職時代を生き抜く会社になりません。社長や役員は部屋で会議ばかりせず、積極的に現場に足を運び、そこで働く従業員の声を聴き、コミュニケーションに努めましょう。そのような会社は社員の定着率が高く、売上も向上し、成長する企業であること信じて疑いません。


第1位の自己実現については、7つの重要な要素があります。この内容に興味があって早く知りたいという方は、「ビジョナリー・リーダーズ」のビジター登録をしてみて下さい。早めに配信できるよう努力します..




次号では、「リーダーとしての強み=ブランディング」について掲載予定です。予告なく記事は変更する場合がありますのでご容赦下さい。


次回に続く…

 
 
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