2025年7月25日
MF-Tokyoに出展されるレーザ加工機
7月16日~19日東京ビッグサイトで開催されたMF-Tokyo2025の動向です。
MF-Tokyoは2年に1度開催される国内では最大の鍛圧機械の展示会です。工作機ではなくレーザ加工機がメインに出展されます。板金製品のものづくりでは、最初に切断工程から入ることから切断機は重要な加工機として多く出展されます。国内では唯一多くの切断機を見ることができます。その他、後工程で使用する曲げ機、溶接機と続きます。

全体動向としては、例年出展するトルンプ、アマダ、マザック、村田、バイストロニクス、サルバニーニ、コマツ、渋谷など日欧の大手機械メーカが複数の機械を並べます。今回は各社ブースの機械展示数が少し減ったように思いました。特に気になったのは、三菱電機の出展がなかったことです。プライベートショーに注力するらしいとの情報がありましたが少し気がかりです。
機械動向としては、7~8年前から盛んに争われてきた高出力レーザ搭載レースとビーム可変技術は落ち着いたように思います。20~30kW搭載機まで出てきましたが、ここまでの高出力は一般的な精密板金市場で必要とされません。需要が少ないので、実用的な6kWクラスを如何にコスパ良く仕上げるかがキーになっています。薄板から厚板まで自動段取りで加工する為のビーム可変技術も一通り浸透し、各社発振器や加工ヘッドでビームシェイプを実現しています。また、高出力化で厚板加工が増加したことでタップ、ドリルなどの切削機能を搭載した複合機も従来から注力されおり今回も数社ほど出展していました。
グローバル視点では、引き続き中国勢の出展が目立ちました。HSG、PentaLaser、Bordor、SENFENG、J-WEIKEなどのレーザ加工機メーカが平板切断機やTUBE加工機を格安に展開しています。搭載されるレーザは当然中国製が主になります。Raycus、MAXphotonicsの2極化が進んでいます。以前は明らかに加工レベルが低かったのですが、昨今は仕上がり具合が向上してきているので比較的保守的な日本企業でも土俵にあがるようになり導入するユーザが増加しつつあります。
溶接機の動向としては、中国製レーザを搭載したハンディレーザ、FANUC製協働ロボットCRXを搭載した半自動機、FANUC、安川製産業用ロボットによる自動機が多く出展されていました。乱立してきたイメージです。特に傾向として、加工機メーカが出展するというより、IT系、ソフト系の会社がロボティクスの用途の一つとして、レーザ溶接機に参入してきています。安価なロボットと中国製レーザをインテグレートすれば簡単に製作できる為に参入障壁が低くなったからです。あとは加工技術や品質に左右するセンシングやソフトウエア技術が差別化になります。EV自動車の業界と同じですね。IT/DX/AIなどソフトウエアに強いところが勝ち残るのかもしれません。
総括として、レーザ加工機業界でもDX/GX/AI/センシング/アプリケーション技術が高速・高精度・高品質を実現する重要な要素となる感がより一層強まった気がします。
今後、生成AIやAIエージェントには代替できない未来のアイデアを自発的に創出するエンジニアが増え、そのような人を生む組織風土とそれらを受け入れることのできる経営体制が整った企業が生き残り発展していくのだろうと強く感じました。果敢なチャレンジと失敗を許容し迅速にリカバリーしながら成長する企業が増えることを期待します。
今回も大変多くの出展者の方々が、快く応対していただいたことに感謝申し上げます。引き続きビジョナリープロダクトもレーザ業界やモノづくり業界が発展するよう微力ながら尽力して参ります。
少しでも興味や共感を持ち弊社と一緒にビジネスを創成したいと思われる方は、「ビジョナリー・パートナーズ」のビジター登録していただけると幸いです。ご一緒に技術交流し業界を盛り上げていきましょう。
引き続き、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年7月25日
株式会社ビジョナリープロダクト
代表取締役 飯領田 晃